今敏監督が最後に手掛けた長編アニメーション映画。
こちらの記事では
映画『パプリカ』の
- 考察&解説
- 似ている作品
について映画ファンの方に答えていただきました。
※映画本編の内容に言及しておりますので、未視聴の方はお気を付けください。
ぜひ『パプリカ』と一緒にチェックしてみて下さいね。
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目次
青い蝶はなにを表す?どんな意味があるのかを考察
映画『パプリカ』本編のところどころに登場する「青い蝶」にはどのような意味が込められているのかを考察していただきました。
"青い蝶"は小山内を表していた
20代女性
作中に度々登場していた青い蝶は、小山内を表していたと考えられます。
小山内がパプリカを捉えた場面では、四方の壁にたくさんの蝶の標本が飾られていました。
あの空間が理事長の夢ではなく小山内の夢だったのだとしたら、小山内はおそらく、蝶の標本を作成しコレクションすることが趣味だったのだと思われます。
夢にあれだけの蝶の標本を登場させるほど、小山内にとって蝶は、この上なく大切な存在だったのだと考えられます。
蝶と同じくらい小山内にとって大切だった存在が"千葉"です。
理事長の夢の中に迷い込んだ千葉は、青い蝶に導かれていました。
小山内は自分の分身である青い蝶を使って、小山内だけの空間であるあの蝶の標本の部屋へと、千葉を誘いたかったのだと思います。
夢と現実の曖昧な境界線をはっきりさせる為の象徴だった
20代女性
映画「パプリカ」で登場する青い蝶は、個人的な主観ですが、夢と現実の曖昧な境界線をはっきりさせる為の象徴だったと思えます。
映画を見ていただくと分かるのですが、青い蝶は主人公とパプリカが夢の中にいる時に出会う回数が多く、夢と現実世界の狭間に存在する生き物として描かれているのが特徴的です。
そして青い蝶は登場人物の心情を反映して表す生き物としても捉えることができ、登場人物の不安やその他の感情で蝶の数や見方が変わると感じました。
青い蝶は小山内の気持ちの具現化だった
30代女性
青い蝶は、登場人物の小山内の気持ちだったのではないかと思います。
実際に夢の中では、小山内の中から大量の青い蝶が出てきたり、千葉さんを追いかけていたりするからです。
理事長に反発しながらも、蝶になって千葉さんを追いかけていこうとすることからも、彼の気持ちが現れているのかなと思いました。
また、小山内がパプリカを監禁した部屋に、蝶の標本がたくさん並べられていたので、彼と蝶は密接な関わりがあるのではないかと思いました。
小山内守雄の無意識のあらわれだった
30代その他
作中たびたび登場する「青い蝶」は、小山内守雄の無意識のあらわれだと思っています。
小山内守雄の夢の中で登場する、深層心理蝶が反映されたと考えられる大量の蝶の標本が壁中に飾られた部屋が、何よりもそれを暗示していると思います。
さらに、小山内守雄のシャツの他、ネクタイなども青い色が使われており、小山内守雄自身も美形として描かれていますから、「青い蝶」を彼自身の投影としてみることもできるでしょう。
天才科学者である時田浩作に対し嫉妬を感じている様子で、抑圧された感情がある、理事長である乾精次郎に服従させられている様は、標本として固定されている蝶や針で表現されているともとらえられます。
逆に夢の中で刑事の粉川利美に小山内守雄が銃で撃たれ、無意識が現実へと反転して死亡し、理事長である乾精次郎に飲み込まれた描写があったあとは「青い蝶」は登場しないように思います。
荘子の「胡蝶の夢」をモチーフに"夢と現の境界"を演出していた
30代女性
「青い蝶」は荘子の「胡蝶の夢」をモチーフに"夢と現の境界があいまいになっている様子"を演出していたと考えます。
「胡蝶の夢」は夢の中で蝶になった男が目を覚まし、今まで見ていた光景が夢であったのか、それとも夢で見た蝶が実は自分自身で、今の自分は蝶が見ている夢であるのかが分からなくなる、というお話です。
『パプリカ』は夢に侵入する主人公が活躍する冒険奇譚であるため、「胡蝶の夢」を踏襲している可能性は高いと推察いたします。
青い蝶が登場するシーンでは、夢と現実の境目が曖昧になる濃度や儚さを蝶の動きや数で表現していたのではないでしょうか。
犯人である理事長が絡んでいる足跡を意味している
50代男性
冒頭は青い蝶と一緒に危機的状況に陥るので、犯人である理事長が絡んでいる証拠というか足跡みたいなものではないでしょうか。
理事長本人が故意に出しているかどうかは不明ですが、夢なら好んで演出している可能性が高いです。
研究所の理事長であるにもかかわらず保守的なため、「DCミニ」の開発に後ろ向きな姿勢を見せていますが、自分の持つ美学や道徳心を、美しくて儚い「蝶」で表現しているのかもしれません。
また「青」という冷たい色は、死への誘い連想させます。
巨大パプリカが理事長を倒せた理由は?
物語の終盤で巨大化したパプリカが理事長を吸い込んで倒しますが、倒せた理由はどこに起因しているのかを考察していただきました。
千葉が時田への愛を包み隠さず表現したことをきっかけに勝てた
20代女性
パプリカが理事長を倒すことができた理由は、千葉が時田への愛を包み隠さず表現したことがきっかけだろうと考えられます。
理事長の夢は悪夢であり、人々が作り上げてきた現実を闇で飲み込んでしまうような、恐ろしいものでした。
しかし夢というものは悪夢ばかりではなく、千葉と時田のような温もりのある柔らかい愛の溢れた夢もあります。
理事長が見せた悪夢の中で、時田はロボットとなって暴走し、なんでも飲み込んでしまう時田は千葉さえも飲み込んでしまいましたが、千葉は自身の気持ちに素直になり、時田への愛で常田の暴走を止めました。
パプリカは千葉が見せた愛の力を見て、理事長の悪夢に打ち勝つ愛の力を知り、理事長へと立ち向かうことができたのです。
理事長の心の中に入り込んだことで弱点や欲望を見つけることができた
20代女性
パプリカは他人の夢の中に入り込んでその夢に触れたり、干渉することを得意としていました。
なのでこの能力を使って、理事長の心の中に侵入することができ、そして夢の中で彼に対抗する力があったため、たとえ状況的に不利だったとしても戦いに挑み、勝つことができたのかなと思います。
理事長の心の中に入り込んだことで、理事長が持っていた弱点や己の欲望を見つけることができて、それを情報源にして理事長を倒すための戦力を練ることができたのも大きいです。
理事長に勝つことができたのは、彼女が映画の中で成長し、自身のコンプレックスに打ち勝ってそれを武器に理事長に挑んだのも理由だと思っています。
千葉が時田への恋心に素直になれたことが関係している
30代女性
明確にはよく分からなかったんですが、パプリカである千葉さんが、時田くんの恋心に素直になれたことが関係しているのかなと思いました。
パプリカが理事長を倒す少し前に、ロボットになった時田くんを千葉さんが助けるシーンがあるんです。
そこで千葉さんが前までの千葉さんとはちょっと変わって、少しパプリカのような素直さが見えるようになります。
そういった場面をパプリカも見て、自身の成長や愛を感じられたことが、理事長を倒せたことに繋がっているのかなと感じました。
結局、理事長は自分の利益のことしか考えられていなかったけど、パプリカは千葉さんや時田くん、所長などいろんな人を想うことが出来たのも、大きな力になっていたんだと思います。
「精気」を吸い取り成長する子や女性を表している
30代その他
理事長である乾精次郎は、死をまもなく迎えようとしている老人男性です。
無意識の世界でも、動かないものであるはずの木として表象されながら動いているのが印象的でした。
乾は、ヒロインでパプリカでもある千葉敦子に対し性的欲求を持っていた、部下である小山内守雄を夢の空間において侵食します。
彼の名前が、「乾=かわかす」であること、また「せいじろう」という読みではあまり一般的ではない、男性性を表象する「精」の字であることも興味深い点です。
一方、千葉敦子は千の葉に、人情や「あつまる」などを表す「敦」の字に、女性性・生の表象である「子」の字を名に持ち、その無意識化の具現化されたキャラクターであるパプリカのように、生命力にあふれたキャラクターだと言えるでしょう。
対決シーンの千葉は、乾の「精気」を吸い取り、子供が時間とともに成長し親が老いるように、そしてエゴ(夢)とうまく付き合えていない作中の男性たちの代表ともいえる乾の男性性に対し、現実的な女性(パプリカではなく千葉)性だったからこそ、理事長を倒したのかもしれません。
時田を救いたいと思った千葉の気持ちが理事長を倒すための大きなエネルギーとなった
40代男性
巨大化した理事長をパプリカが倒すことができたのは、理事長を倒すことができなければ、彼女が好意を持っている時田を救うことができないと考えたからだと思います。
時田のことを救いたいと敦子が心から願ったからこそ、女の子に姿を変えたパプリカは理事長が見ている夢を全て吸収して、巨大化することができたのだと思います。
パプリカが理事長の夢を全て自分の体の中に取り込んだことにより、現実の世界にまで暴走していた夢は全て消え去り、平和な世界が再び訪れたのではないでしょうか。
人を愛することは大きな力になるということは、昔から多くの人に言われてきたことですが、この映画でも時田に対する敦子の好意は、理事長を倒すための大きなエネルギーとなったと思っています。
パプリカが理事長を倒せた理由は「愛」だった
50代男性
これは夢なだけに理解不能な面が大きいので、視聴した人の受け取り方次第だと思います。
理事長はパプリカに口から吸い込まれる形で消えて敗北しましたが、やはりこれは悪夢ということなので、夢を喰う幻獣「バク」からヒントを得たのではないでしょうか。
これだけ破天荒なストーリーの中で、最後はド定番の終わり方だなという印象です。
ただ、なぜパプリカが最後にそのようなことができるようになったのかは不明なままです。
元々パプリカは千葉敦子の想像の産物で、夢の中でしか活動できませんが、もしかしたら時田への愛に目覚めたことでさらに想像力が増大し、自分をバクという存在に進化させたのかもしれません。
つまり、パプリカが理事長を倒せた理由は「愛」だと思います。
『夢見る子供たち』はどんな映画?
映画本編のラストシーンで、刑事・粉川が『夢見る子供たち』というタイトルの映画を観るため劇場に入っていきますが、この映画はどういった内容なのかを考察していただきました。
20代女性
「夢見る子供たち」という内容の映画はタイトルに"子供"があるので、シンプルに考えて主に主人公や登場人物たちが子供たちで、彼らの視点に沿って話が進んでいくと考えさせられます。
タイトルに"夢見る"と書かれているので、子供たちが日常生活の中で刺激的な冒険や夢を追い続けたりは、他の大人たちや子供たちとのふれあいを通じて悩んだり、理解を通じて成長していく姿が見れる作品かなと思います。
特に子供と大人では同じ場所でも見る世界が全く異なり、子供だからこそ見える世界や特別な能力が私はあると思っています。
なので子供の頃に憧れた秘密基地なども描かれているかもしれません。
ですが大事なのは子供の頃にもっていた豊かな想像力と純粋な気持ちを大事にする作品かもしれません。
20代女性
『夢見る子供たち』で描かれる夢は、子供達が未来に思い描く彼らの夢であると考えられます。
映画に登場する子供たちは、粉川が17歳の頃に思い描いていた夢のように、鮮やかで明るく熱い夢を抱いています。
子供たちはまだ幼いため、夢の美しさしか知らず現実を知りません。
しかしながら、現実に打ち勝つのは夢であることは知っています。
夢が現実に打ち勝つことを、大人は忘れてしまっています。
子供たちは純粋に真っ直ぐに夢を抱き生きていました。しかしやがて彼らは大人になり、夢の持つ力を忘れ現実を生きるようになります。
ある時、彼らは子供の頃に抱いていた夢を思い出し、その夢が彼らの生きる現実に打ち勝ちます。
大人になった彼らは、あの日の夢見る子供たちのように、再び夢を見始めるのです。
30代女性
正解は分からないんですが、個人的には『パプリカ』本編の千葉さんと時田くん、氷室くんの映画かなと感じてしまいました。
3人が純粋にDCミニを作り出して希望に満ち溢れていた様子を、映画にしたのではないでしょうか。
子どもの純粋な様子で、希望を夢見る感じが伝わってきそうです。
パプリカがこの映画をおすすめすることからも、千葉さんは関わっていそうな気がします。
もしくは、粉川刑事をモチーフにした映画だったのかもしれません。
トラウマを克服した彼だったからこそ、もう一度昔の夢にちゃんと純粋に向き合って欲しいという願いもあったのではないでしょうか。
映画監督の夢は消えてしまったけど、嘘も真という言葉の意味を映像化してみたかったのかもしれません。
30代その他
タイトル通りに、将来の夢を語りあう青少年3人の青春ストーリーでしょうか。
この映画のタイトルが出てくるのはラストシーンだけではなく、車の中で刑事の粉川利美が具合の悪くなるシーンでも出てきます。
そのシーンでは、バスの後部の窓からのぞく3人の中学生か高校生の姿、町中の『夢見る子供たち』の大きな看板、「夢・実現プラン」と書かれたバスの広告、バイクに乗る二人組の若い男性、車でアイスクリームを食べる2人の男の子が出てきます。
これらの光景が代わる代わる映ったあと、信号が青くなり、粉川の親友であったのに正体のわからない〈あいつ〉が粉川を責める声が聞こえます。
赤から青に変わった信号が、抑圧された記憶を思い出せるようになったきっかけだと考えられます。
ラストシーンでは子供が3人になっていること、研究所長の島寅太郎との会話を突き合わせると、粉川・島・〈あいつ〉のように、つるんで夢を語り合って3人の夢を語り合う青年たちの青春ストーリーである可能性が高いでしょう。
40代男性
映画監督になるという夢を諦めて刑事になった粉川が最後に映画館で映画を見るというのは、非常に印象的なシーンだったので、このラストシーンは非常に記憶に残っています。
映画監督になる夢を諦めた粉川にとって、映画を見ることさえ苦痛なはずであったのに、それでも彼が見ようと思った映画とはどのような内容であったのか、ずっと知りたいと思っていました。
映画の中では、粉川がチケットを買った『夢見る子供たち』という映画の内容は明らかにされていませんが、タイトルからそのまま想像すれば夢を見る少年や少女をテーマにした映画であったかもしれません。
ですが、大人になっても子供の頃の夢を忘れない子供のような大人をテーマにした映画であったかもしれません。
50代男性
単純に考えたら3人の少年少女が将来への夢を見て語り合い、それを大人になってから実現させていくサクセスストーリーでしょうか。
粉川は若い頃の過ちをずっと悔やんでいましたが、それを乗り越えることでトラウマだった映画を見ることができるようになったのだと思います。
そんな粉川にとって「夢見る子供たち」を勧めることは粋な計らいです。
きっと登場人物を自分や友人、恋人に重ねて見るのではないでしょうか。
女性もいるので恋愛模様や恋敵との戦いなんて展開もあるかもしれません。
恋人と結婚して生活に追われ、夢を諦めざるを得ない状況に陥り、ちょっと前の自分と変わらない状況になるのも面白いですね。
そして、それらがすべて夢だった……なんて落ちもありそうです。
映画『パプリカ』で印象に残っているシーン
映画『パプリカ』の作中で印象的だったシーンを教えていただきました。
映画スタッフの名前がテロップで写されるシーン
20代女性
私が映画『パプリカ』で印象に残っているシーンは、やはり主人公であるパプリカが他人の夢の中に入り込み、様々な人々の夢を覗き込むシーンです。
特に好きなのは初盤からパプリカが夢の中で動くシーンがあり、そこには映画に関わった監督やスタッフなどの名前がテロップとして出てくるのです。
パプリカは1言も喋らないのですが、そのシーンが度々変わって、それが見ていて飽きずに、次はどういったシーンが来るのかワクワクするのでとても好きなシーンです。
あとはラスト前で、現実世界と夢の世界が混合して、混乱状態になってしまうシーンがあるのですが、その映像は現実にある社会問題をユーモアたっぷりに描いているので、正直言うと少し不気味ですが、とても興味深いシーンでした。
粉川が警戒している様子が見れる現実的な一幕
20代女性
印象に残っているシーンは、粉川がパソコン上でパプリカに会いに行くも、その間周りを気にしているシーンです。
この映画では大半のシーンが非現実的なシーンの連続ですが、粉川が周りを気にしているシーンはかなり現実的な心配を感じられる一幕であり、他のシーンが非現実的でインパクトがある分、その現実感がより引き立っていました。
千葉や時田といった登場人物が、夢という非現実的なものに関わっている中、粉川は刑事といういかにも現実的な仕事をして生きています。
周りを気にしている粉川からは、そうした現実に生きている様子が伝わってきました。
しかし粉川は、パソコン上のバーに入り込み、やがて千葉や時田らのように夢の中で生きる瞬間も訪れます。
そうした意味でも、粉川が周りを気にしているシーンは現実と夢の間のシーンのようで、強烈に印象に残りました。
パレードのシーンが不気味で美しい
30代女性
1番印象に残っているのは、やはり理事長の夢に出てくるパレードのシーンです。
いろんな物や人物がごちゃごちゃにパレードしていて、とっても不気味だったけど、とっても面白く感じました。
パレードに出てくる日本人形の存在も、ちょっと不気味で面白かったです。
他に出てくるものも、何かを表しているのかなと考えると、考察が止まらなくなってしまいます。
何回パプリカを見ても、やはりパレードシーンは圧巻なので、ここで一気にこの映画に惹き込まれてしまった感じがありました。
紙ふぶきがパレードで舞うシーンも多いのですが、その動きもなめらかでとにかく映像が素晴らしいです。
あんなにガチャガチャしたパレードなのに、色彩が豊かで美しく見えてしまうので、個人的には1番の見どころだと思います。
粉川のカウンセリング中に百鬼夜行が突入してくるシーン
30代その他
現代版の百鬼夜行ともいえる、電化製品や生活用品、キャラクターたちが踊り狂う、大パレードのシーンが圧倒的だったと思います。
特に、黒澤明監督のインタビュー風に刑事の粉川利美がパプリカのカウンセリングを受けているシーンに、百鬼夜行が雪崩を作って入り込んでくるシーンは素晴らしいと思います。
全編通して比較的カッチリとして絵柄なのに対して、夢の中ではものの形が緩んでいたり、うねっていたり、使われているのもどこまでも明るい色であったり、百鬼夜行に登場する人物たちの表情も底抜けの笑顔であるにもかかわらず、どうやったらあれだけの異様さ、狂気、薄気味悪さや暗さが出てくるのか、アニメーターたちの表現力に感服します。
粉川刑事が自分の過去を思い出す場面
40代男性
映画『パプリカ』の中で特に印象に残っているのは、粉川刑事が自分の過去を思い出す場面です。
粉川刑事は映画監督になるという夢を持っていました。彼にとってその夢を諦めることは、本当に苦しかったのではないかと推察します。
このような気持ちは自分も非常に理解できるので、印象的なシーンとして心に残っています。
粉川刑事の場合には、友達と一緒に映画を作っていたので、映画監督になる夢を諦めるということは、友達を裏切ることにもなり、非常に苦しい決断であったと思います。
ですが、映画監督になるという子供のような夢を捨てて刑事になることを選んだ粉川刑事のことは、誰も非難できないと思います。
たとえ友達を裏切って自分の夢を捨てたとはいえ、それを心の底では重荷に感じている粉川刑事の気持ちは非常によくわかります。
冒頭の夢の世界で引き込まれる
50代男性
やはり冒頭のシーンが一番印象に残っています。
最初は魔法かファンタジーアニメかと思っていました。
次々と場面が切り替わり、夢の世界のようなでたらめっぷりに圧倒されました。
しかし結局夢だったことで納得しましたが、それがテクノロジーによって生み出されたものという点は意外性があって興味深かったです。
夢の内容もなかなか尖っていて、粉川警部の主観で見ていたと思ったら別の人に入れ替わったりと混乱させられまくりでした。
警部が大勢で襲いかかってくるシーンはコミカルでしたし、なかなか気持ち悪かったです。
夢から覚めたことで、見ているこちらもホッとしましたが、二人がどういう関係なのかも気になりました。続けて観たいという欲求が湧いてくる始まりでした。
映画『パプリカ』はなぜ人気?理由を考察
映画公開から20年近く経ってもなお人気を集める『パプリカ』ですが、どういった魅力があるのかを解説していただきました。
現在を生きる私たちも共感できる作品であるため
20代女性
『パプリカ』公開から20年近く経っていると知って非常に驚きました。
それほどパプリカは現代的で、現在を生きる私たちにとっても共感できる作品であるため、人気が高いのだと考えられます。
映画公開から20年近く経った現代は、幸せな世の中であるとは思えません。
経済、環境、争いなど様々な問題を抱えて日中を生きた私たちは、"夜の夢"という世界を求めてしまいます。
自身の欲が詰まった夢を友人らと共に行き来できる世界、あるいは自分の欲が詰まった自分だけの空間を大切にできる世界、そのどちらも現代には必要に思えて、パプリカに共感を抱いてしまいます。
それゆえに、公開から20年近く経った今日も、パプリカを求める現代人が多くいるのではないでしょうか。
斬新さと独創的な世界観やメッセージ性が人気の理由
20代女性
「パプリカ」が今でも人気なのは、その斬新さと独創的な世界観にあります。
ストーリーが素晴らしいのはもちろんなのですが、個性豊かな登場人物たち、音楽や映像などどこを切り取っても素晴らしい作品に仕上がっており、私は初めて見た時にとても衝撃を受けたのを覚えています。
そして作品を引き立たせる哲学的なテーマと社会問題を扱ったメッセージ性ある内容も人気の一つです。
映画では現実と夢の中の曖昧な境界線を描いていましたが、現代における現実世界とインターネット世界の曖昧な境界線と似ている箇所がいくつもあり、とても現代的な作品でもあると考えさせられます。
20年前とは思えないくらい、綺麗な作画とアニメーションと個性的な音楽が作り上げる作品は今でも視聴者を魅了して、伏線がいくつも散りばめられているので、何でも見たくなる作品です。
何度見ても難解で、意味のわからない部分が多いのが人気の理由
30代女性
何度見ても難解で、意味のわからない部分が多いのが人気の理由かなと思いました。
夢と現実がごちゃごちゃに入り混じってくるので、その境目が分からなくなってしまう所が面白いと思います。
また、当時の作品とは思えないほどのクオリティーの良さがあります。
この映画の発想力がとにかく素晴らしく"DCミニ"というあり得ない装置が登場するからこそ、いつ見ても面白く感じるのかもしれません。
あとは夢の世界が現実もちょっと入り混じった異世界になっているので、そこがウケているのだと思います。
黒幕の存在も見進めないと分からないので、その辺を知る楽しさも見ていてありました。そのためミステリー要素が好きな人にも楽しめる作品だと思います。
ユニークなサウンドトラックが大きく寄与している
30代その他
異様ともいえる、ユニークなサウンドトラックが大きく寄与しているように思います。
今敏監督の作品はどれも、物語も込み入っていて興味深く、何層にも入り組んでいて、入れ子細工のようになっているのが特徴ですし、「パプリカ」もその例にもれません。
ですが、印象の強さで言えば、大パレードシーンの平沢進さんの、仏教風とも現代的ともなんとも形容し難い曲がかかるシーンが、どの映画のどのシーンよりも強いです。
逆に言えば、平沢進さんのサウンドトラックなしでは、「ダースベイダーのテーマ」なしの『スターウォーズ』や、「ツァラトゥストラはかく語りき」なしの『2001年宇宙の旅』があり得ないように、カルト的人気を誇る『パプリカ』もなかったと思います。
アニメ映画としてのクオリティが非常に高い
40代男性
映画『パプリカ』は公開してからすでに20年近く経過していることを知って驚いていますが、それよりもこの作品が今でも多くの人に支持されていることに驚いています。
この作品が公開された当初は、知る人ぞ知る名作アニメといった感じの作品だったのですが、公開後により多くの人がこの作品を見てくれたことを喜んでいます。
20年近くの歳月が経過しても映画『パプリカ』が人気である理由は、アニメ映画としてのクオリティが非常に高いことであると思います。
90分程度の長さの短い映画だからこそ、全編にわたって高いクオリティのアニメを制作することができたと考えています。
アニメが好きな人は2020年代にも多くいるので、多くの人がこのクオリティの高い映画に注目したのは当然のことであると思います。
アニメ技術の高さと細部へのこだわりが人気の理由
50代男性
まずストーリーが非常にユニークです。
とてつもない世界観ですが、それを実現するアニメの技術が素晴らしいですし、見た目にも色とりどりで美しいです。
筋斗雲に乗って空を駆け巡るシーンでは、風景が写真かアニメか分かりませんでしたが、それだけ細部へのこだわりが感じられます。
さらに驚いたのが声優です。
あまり声優には詳しくないのですが、それでも分かるほど個性的な方が抜擢されています。
例えば天才研究員の時田浩作は、ガンダムのアムロを担当する古谷徹さんですし、刑事の粉川利美は攻殻機動隊のバトーを担当する大塚明夫さんでした。
ストーリーや映像、声優に至るまで強いこだわりが見受けられます。
それでいて自己満足な作りになっておらず、普通に楽しめるのですから人気が出ないはずがありません。
映画『パプリカ』に似ている作品
映画『パプリカ』に雰囲気が似ている作品を教えていただきました。
パコと魔法の絵本
20代女性
『パプリカ』が好きな人々におすすめしたい映画は『パコと魔法の絵本』です。
この映画は夢の話ではなく、主人公のパコが毎日読んでいる絵本の話です。
おすすめしたい理由は2点あります。1点目は『パプリカ』のように色彩が鮮やかな点です。
おそらく『パプリカ』を好きな人々は、内容以外に視覚的な好みもあるのではないかと考えられます。
『パプリカ』はどのシーンを切り取っても色が鮮やかです。
『パコと魔法の絵本』も同様に、どのシーンを切り取っても色が鮮やかで見るものの心を踊らせます。
2点目は現実と非現実を行き来する点が似ているからです。
『パコと魔法の絵本』でも夢のような非現実的な場面がたくさんあり、『パプリカ』を好きな人々はその夢のような場面にワクワクすることでしょう。
東京ゴッドファーザーズ
20代女性
私がおすすめしたいのは『東京ゴッドファーザーズ』です。理由はこの作品がパプリカの映画を作った監督と同じだからです。
3人の訳アリのホームレスがクリスマス前日に捨てられた赤ん坊を見つけ、そこから話が始まります。
内容としては『パプリカ』と異なりますが、アニメーションの綺麗さはもちろん、独創的な世界と斬新なシーン作りはパプリカと似ているのでとても楽しめると思います。
パプリカと同じく非日常な要素が沢山盛り込まれており、主にコメディ要素が多いと感じましたが、びっくりしたり泣けるポイントもあります。
この映画も伏線が沢山あって、話が進むにつれ解明されていくので見ていてとても楽しいです。
人間の心や絆を描いた作品で、特にクリスマスに見ると絶対に楽しめるおすすめ作品です。
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鉄コン筋クリート
30代女性
個人的には、『鉄コン筋クリート』がなんとなくパプリカの世界観に似ているかなと感じました。
アニメーションの色彩感やごちゃごちゃ感がなんとなく似ている気がします。
物語にスピード感があり、何度見てもちょっと分からない部分や考察が必要な部分もあるので、その辺が似ている気がしました。
映像の中には、どちらも"グラン"とした揺れる感じがあるのですが、その辺の描写もちょっと似ています。
また『鉄コン筋クリート』も有名な声優が揃っている点が似ていると思いました。
二宮和也さんや蒼井優さんが声優をされていて、みんなとても上手いのです。
そのため独特の世界観のアニメでもすぐに入り込める感じがします。
パプリカも有名な声優さんが多く出演していて、作品として完成されているので、異様な世界観も否応なく入り込めました。
ザ・セル
30代女性
2001年に公開されたジェニファー・ロペスが主演を務めるサスペンスSF映画です。個性的な衣装を日本人が手掛け注目を集めた作品でもあります。
心理学者の主人公キャサリンが、逮捕された凶悪殺人鬼の意識に入り込み監禁した女性の居場所を探っていく…という物語で、『パプリカ』の千葉敦子の仕事に近い働きをしている印象を受けました。
『パプリカ』の世界観も中々にエッジの効いたものがありますが、『ザ・セル』に登場する殺人鬼の精神世界がグロテスクかつ刺激が強いので鑑賞の際はご注意ください。
眠っている間に精神世界に入り込み、夢と現実の境目が曖昧になる点や、トラウマに対応できる要素を見つけ出したり、事件の解決を目指す点が『パプリカ』に似ているなと感じました。
インセプション
30代その他
定番だろうとは思いますが、2010年に公開されたクリストファー・ノーラン監督の『インセプション』と見比べてみるのが、とても面白いと思いますしおすすめできます。
同じような舞台設定で「夢の中に入る」者たちの、「夢」「無意識」「深層心理」がキーワードであり、それが現実に及ぼす影響も描いています。
アニメの表現に負けない、素晴らしいCGを使っているので、鑑賞体験としても楽しいですが、夢や深層心理が男性性、女性性にどう作用するのか、などの点でも今敏監督の『パプリカ』と見比べてみるのは面白いのではないかと思います。
現実と夢の境界が曖昧になり、謎が残るという意味でも『パプリカ』が好きな方であれば楽しめる一作だと思います。
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千年女優
40代男性
映画『パプリカ』が好きな人におすすめできる映画作品として紹介できるのは『千年女優』です。
アニメ映画が好きな人には、特におすすめできる作品です。
『パプリカ』が好きな人にこの作品をおすすめできるのは、『パプリカ』と同じ監督が制作したアニメだからです。
今敏監督は『パプリカ』よりも前の時期に制作されています。
『千年女優』が高く評価されたことにより、今敏監督の名前もより多くの人に知られるようになったので、彼の出世作とも言える作品です。
文化庁が主催するメディア芸術祭のアニメーション部門で大賞も受賞しています。
『パプリカ』と同様に、芸術作品として非常に完成度の高いアニメであることが、この作品のおすすめポイントです。
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攻殻機動隊
50代男性
パプリカが夢にダイブする様は、まるでインターネットの世界にダイブする「攻殻機動隊」の草薙素子を連想させられます。
ショートカットの見た目と活動的なところも似ていますが、もしかしたら同作品からインスパイアされたのかもしれません。
なので、パプリカが好きな人は、この攻殻機動隊も楽しめるのではないでしょうか。
近未来で活躍する公安捜査官の話ですが、主役の女性はサイボーグで、頑強な体とS級ハッカーの腕前を持つ捜査のスペシャリストです。
アクションが素晴らしいですが謎解きも面白く、機械化された体と心の乖離など葛藤する場面もあって、色々と考えさせられる作品でもあります。
アニメや映画が多数公開されているので、たっぷり楽しむことができます。
まとめ
映画『パプリカ』の
- 考察&解説
- 似ている作品
についての解説と考察でした。
新たな視点や納得のいく考察はありましたか?
ぜひ『パプリカ』と一緒にチェックしてみて下さいね。
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※本ページの情報は2024年4月時点のものです。