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『ガタカ』映画の考察&解説|ジェロームは最後になぜ髪の毛を渡したの?

ガタカ 映画の解説と考察

1997年に製作されたアンドリュー・ニコル監督による映画『ガタカ』。

こちらの記事では

『ガタカ』の

  1. 映画の考察&解説
  2. 似ている作品

について複数の角度から映画ファンの方に答えていただきました。

※映画本編の内容に言及しておりますので、未視聴の方はお気を付けください。

ぜひ『ガタカ』本編と一緒にチェックしてみて下さいね。

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目次

ジェロームがヴィンセントへ髪の毛を渡した理由

映画の終盤に、宇宙で旅立つこととなったヴィンセントに自分の髪の毛を渡すジェローム。

この一連の流れにはどういった気持ちが隠されていたのかを、様々な角度から考察していただきました。

運命共同体となった2人の夢を叶えるための、彼なりの最後のお別れ

女性

ジェロームとヴィンセントは、お互いの目的の為に協力する関係でしたが、付き合いが長くなり、絆を深めていきました。

ジェロームは血液等のサンプルを渡しヴィンセトの夢を応援するのですが、ジェロームには生活がかかっているので最早2人は運命共同体です。

事故で不自由な体になったジェロームは、水泳での金メダルと言う自分の夢を叶えることはもう不可能です。
しかし遺伝子的に劣勢で、通常は叶うはずのない夢を努力に努力を重ね追い続けるヴィンセントは決して夢を諦めず突き進んでいきます。
そんな努力家のヴィンセントを応援することが、ある意味ジェロームの生き甲斐になっていったのだと思います。
特にジェロームの方は、一心同体のような絆を感じていたはずです。

最後に髪の毛を渡したのは、自分の魂も一緒に宇宙へ行き、通常は叶うはずのない夢をどうしても2人で叶えたかったのでしょう。

もう何十回とヴィンセントへ血液や髪の毛のサンプルを渡していたので、いつも通りの方法で彼なりの最後のお別れをしたのだと思います。

ジェロームに出来る最後のことだった&忘れてほしくなかった、という思い

男性

適正者として"優れている"とされているにも関わらず、何もできなくなっている自分に悲観しつつ、神の子でありながら努力を重ね、限界を超えて夢をかなえようとしているヴィンセントへの憧れや夢を託す気持ち、同時にどこか嫉妬心や諦めきれない思いを髪の毛に託したのかなと感じました。

彼にとっては、髪の毛を最後に渡すという行為が、自分にできる最後の事だと感じていたのかなとも思います。

夢を叶えた後もヴィンセントに忘れてほしくなかったという感情も読み取れます。

ヴィンセントの夢の果てを傍で見るため、という解釈

女性

最初に観た時と、数回観直した時とで少しずつ印象は変わってきたのですが、最初は単純に「自分は死ぬつもりだし、遠くに行くから必要になるかもしれないだろ?」という気持ちだったのかと思いました。

しかし数回観ていくうちに、もしかしてジェロームはヴィンセントをすごく好きだったんじゃないかな、と思いました。

きっと彼は戻らないだろうと思っていて、自分を宇宙に連れていってほしいと思ったのではないか、と思うようになりました。

ヴィンセントの夢がどんなものだったのか、そばで観てみたかったのではないか、と。もう一度観たらまた感じ方も変わる気がしています。

遺髪的な意味合い?ヴィンセントに必要なサンプルの最後のひとつとして渡した

女性

必要なサンプルすべてを揃えて、その最後の一つとして渡したのだと思います。

遺髪的な意味合いで、形見つまり死を暗示するもののような印象は受けましたが、そういった感覚が世界的に共通するものか知識がないため、そのような解釈が成立するのかはよく分からないです。
ただ髪の毛は、腐らないで死後も長く残るものなので、遺髪が何らかの意味合いをもつ文化圏は多くありそうだとは思います。そのため、髪の毛を渡すシーンには、何らかの意味はあるのだろうとは思います。

ジェロームは輝かしい未来への道をヴィンセントに託した

女性

古くから、人は亡くなる際に頭髪を残す風習が世界にはあります。
共に目指した宇宙へヴィンセントが旅立つことが決まり、ジェロームは本来ならば自らが歩むはずであった輝かしい未来への道を、ヴィンセントに託したいと考えたと思います。

ジェロームはきっと行けるなら一緒に宇宙へ行きたかったはずです。
だがそれは叶わぬ夢であるため、せめて自らの一部をヴィンセントと共に宇宙へ旅立ち、肉体は死んでも魂は宇宙へ行きたいという願いから髪の毛を渡したのだと思います。

 

ジェロームはなぜ自ら命を絶ったのか?

物語のラスト、自らの命を絶ったジェローム。彼はなぜ自殺を選んだのか?について解説していただきました。

ヴィンセントの旅立ちはジェロームにとっても旅立ちの時だった

女性

自身の役割を完結させたのだと思います。

ヴィンセントが宇宙にいる間に、地上でジェロームに何かあった場合、全てが台無しになる恐れがあると思います。
ヴィンセントが宇宙にいる間は、サンプルの供給者として存在する意味はなく、万一の場合のデメリットの方が大きいという判断だと考えます。

そして、自分の命を絶てるくらい、ジェロームにとってもヴィンセントの夢が大事なものになっていて、ヴィンセントが宇宙に旅立つのは、ジェロームにとっても旅立ちのときを意味したのだと思います。

自分に誇りを持ちつつ人生の幕を下ろした

女性

ジェロームとヴィンセントには、いつの間にか2人で1人のような深い絆で結ばれていきます。
ジェロームはサンプルを渡し続け、ヴィンセントの宇宙飛行士への夢を最大限応援しサポートします。

ストーリーの最後、夢を叶え宇宙へ飛び立つヴィンセントのことが誇らしくもあり、片や自分は一生歩けず夢も絶望的だと、改めて実感してしまったのでしょう。

夢を叶えたヴィンセントは、いずれジェロームのサンプルは必要なくなると言えます。
ヴィンセントは不適正者であっても努力で夢は叶うこと、適正者にも全く劣らないことを証明できたのですから、これから遺伝子優位だった社会が大きく変わる可能性すらもあります。

悲しいことにジェロームの方は、いくら努力しても夢は絶望的です。
そして自分が生きていることで、かえってヴィンセントの邪魔になると考えたのかもしれません。

彼が精一杯努力して手に入れた銀メダルは、自分だけの力で手に入れた大事な証です。
そのメダルと共に、悲観や絶望だけでなく、自分に誇りを持って人生の幕を下ろしたのでしょう。

自分自身に対する期待を失いながらもヴィンセントにしてあげられることをした

男性

ジェロームはすでに自分自身に対する期待はすべて失っていたのだと思います。

その中で出会ったヴィンセントが、夢を持ちそのために努力する様を見ていくうちに、彼を少しでもサポートしたいという思いが強まって、励ましたりしていたんだと思います。

でもそのヴィンセントが宇宙に行くという夢を叶えることが現実になった時に、自分がもはや何も将来に期待も希望もないと言うことに気づき、自分にできる形でジェロームも旅立ちたかったのだと思いました。

ジェローム自身に起こった出来事への復讐だった

女性

元々、自分の命は交通事故に遭った時になくなるはずのものだった、という気持ちがずっと彼の中にはあったのだろうと思います。
それなのに生きているのは、自分を必要とするヴィンセントがいたから。

でもヴィンセントは夢を叶え、いよいよ宇宙へと飛び立ち、恋人もできて、必ずしも「ジェロームより劣っているヴィンセント」とは言い切れなくなりました。

ヴィンセントはジェロームにとって、生きる理由でもあり、好ましい相手でもありつつコンプレックスでもあり、同時に憎むべきものだったように思います。

自分を捨てて宇宙に行った彼がもし戻った時、ジェロームがいなくなればヴィンセントは死ぬしかなくなるだろう、と予想したのではないかと思います。
自分に起こった出来事への復讐だったのではないかと今は思います。

自らが死を選ぶことで偽物を本物にしたかった

女性

事故により下半身不随であるため、適正者としての人生を全う出来ないと悟っているジェロームは、ヴィンセントが目指していた宇宙へ旅立ったことで、自らの使命は終わったと感じたのだと思います。

そして自らの偽物を演じているヴィンセントを、自らが死を選ぶことで偽物を本物にしたかったのだと思います。

またジェローム自身が果たせなかった宇宙という広大は世界へ旅立ったヴィンセントへの憧れ、部屋から出ることの出来ない自分を解放したいという気持ちもあったのだと思います。

 

ラストシーンでヴィンセントはなぜ医者に黙認されたのか?

映画の終盤で、いよいよ宇宙へ出発するヴィンセントに訪れたピンチ。

ヴィンセントの隠し事に気づいた医者は、なぜ彼のことを黙認し見逃したのかを考察していただきました。

医者も遺伝子で限界が決まる世の中に嫌気が差していた

女性

医者も、遺伝子で天井が決まる世の中に嫌気がさしていたのだと思います。そして、全てをかけて抗い、夢を勝ち取ろうとしているヴィンセントに希望を感じたため、見逃したのではないかと思います。

「持たざる者」であるヴィンセントが、抗おうとすること自体は、ありがちといえばありがちで理解しやすいですが、恵まれているはずの医師も、世界の仕組みに疑問を持ち、遺伝子的には恵まれていたジェロームもヴィンセント側についていることで、その仕組みの歪みを表現しているのかと思います。

ヴィンセントはレイマー医師とその息子のヒーローだったのでは

女性

レイマー医師は、職業柄ずっと前からヴィンセントの秘密を知っていたのだと考えられます。

不適正者であるヴィンセントが、並々ならぬ努力で数々の困難を越え成長していく姿を、間近で見てきたはずです。

バレないかハラハラ見守り、誰にもバレないようこっそり手助けしたこともあったのかもしれません。
夢を諦めないヴィンセントのことを家庭で話し、きっと家族全員で陰ながら応援していたのでしょう。

レイマー医師の息子も、不適正者でありヴィンセントと同じです。
努力で不可能を可能にし夢を叶えるヴィンセントは、レイマー医師の息子のヒーローでもあったのです。

最後の最後で味方であることを示し、助けることになりますが、息子のヒーローを救えたのは父親としても嬉しい出来事だったことでしょう。

自分の愛する子供に対する期待や希望を感じたための黙認だった

男性

医者の自分の子供がヴィンセントと似た境遇だったことがすべてです。

ヴィンセントが越えられないとされている壁を乗り越えるために努力して、その目標に達しつつあるのを見て、自分の愛する子供に対する期待や希望が持てたから、黙認したわけです。

もしそこでヴィンセントの事を神の子だと告発したなら、それは医者の息子の将来を否定することと同じになると感じたのではないかと思います。

遺伝子操作に対する否定や政府に対する反抗ではなく、単純に自分の子供の将来を投影しての行動だと思いました。

実は医者はジェロームの隠し事を知っていた説

女性

あれは何だったんだろう、と作品全体を思い返す度に思いますが、実は医者はずっと知っていたのではないか、と思っています。

そしてあの制度についてバカバカしいと思っており、しかし従う以外の選択肢がなかったのだろうと。

ただ、ヴィンセントに関しては、「ここまで来たということはとんでもない努力を重ねてきたのだろう」とわかって見逃したのではないかと思います。また、あるいは殺人が起きたのはヴィンセントの執念によるものだったとも気付いたのではないかと思っています。もう一度観るとわかる気がするので観ます。

ヴィンセントの努力を知っているからこその黙認だった

女性

本来ならば適正者でない者は宇宙飛行士にはなれない決まりであるが、それまでの過酷な試験を乗り越えた過程や努力を知っているからこそ、医者はヴィンセントが宇宙へ旅立つことを黙認したのだと思います。

また医者自身も、人の能力よりも遺伝子による適正が優先される世界のルールに疑問を感じており、それを努力により乗り越えたヴィンセントを、この世界を変えていく希望の象徴となってほしいという望みを託したかったのではないかと思います。

 

『ガタカ』が好きな人におすすめの他作品とその理由

映画『ガタカ』が好きな人におすすめの作品をジャンル問わず挙げてもらいました。次に観る作品選びの参考にしてみてくださいね。

小説『蒼穹の昴』

女性

おすすめは浅田次郎先生の小説『蒼穹の昴』です。この物語の主人公も「持たざる者」であるためです。『ガタカ』との違いは、この物語の主人公は嘘の予言を信じ、自身が何者かになれると思い込むことで運命を切り開いている点です。

個人的に泥臭く、人間臭く抗う人達の話が好きなので、『蒼穹の昴』も面白く読めました。

中国が舞台の歴史もので、『ガタカ』と毛色はかなり異なる物語ではありますが、絶望的な状況に抗いもがいて生きる人の話は、何となく頑張って生きないとだな、という気にさせられます。

 

映画『ほしのこえ』

女性

新海誠監督の『ほしのこえ』をお勧めします。

『ほしのこえ』も、『ガタカ』同様に近未来のSFの物語です。
共通しているのはSFでありながら、自分の内面に向き合う静かな物語でもという点です。

ガタカでは主人公は男性ですが、『ほしのこえ』では好きな人と両思いなのに、宇宙へ旅立つ女の子・ミカコが主人公です。
地球に残る男の子・ノボルも、ミカコを思いながらメールでやりとりを続けていきます。

物語が進むにつれ、2人の距離はどんどん離れていきます。
もう会えないであろう距離になってしまっても、ずっとお互いを思い続けます。
メールが届く時間も、数日、数か月とだんだん長くなります。

そうしてミカコからの最後のメールを受け取ったノボルの気持ちは、ガタカで例えるなら、ジェロームに近い心情でしょう。

自分の力ではどうすることもできない悔しさや、努力し続ける相手を尊敬する気持ちが近いように感じます。
もう大人になったノボルに、最後やっと奇跡的に届いたのは、若いミカコからのメールなのです。

一生会えない恋人同士がお互いを思う気持ちが、とてつもない切なさとなって心に残ります。ガタカが好きな方なら、きっと気に入る作品だと思います。

 

映画『グレイテスト・ショーマン』

男性

自分の持って生まれた個性を受け入れられずに、社会からはじかれた人々がその個性を前面に押し出して成功をおさめるまでのお話なので、『ガタカ』のように持って生まれたものを否定され、しかし揺れながらも諦めず、様々な恐怖や挫折と闘いながらラストには夢をかなえるヴィンセントと、あふれる才能を持って生まれたのに最期は自殺してしまうジェロームの葛藤と悲しみを描いた作品を好む人には感じるものがあるのではないかと思います。

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ドラマ『アストリッドとラファエル』

男性

全然違う2人が、違いを超えて友情を育みながら一緒に仕事をしていくというお話です。「違いを超える」という点が『ガタカ』を好きな方には響くと思います。

 

映画『メメント』

女性

『ガタカ』も複雑な背景や設定、登場人物の複雑な心境を読み取るのに苦労する映画ですが、『メメント』も似た点があると感じるからです。

『メメント』では時系列的に言えば、遡っていくような感じでドラマが展開していくという点ですでに複雑です。
主人公は記憶が長くは持たず忘れていくという設定で、映画を見ながら自分も主人公のレナードの複雑な心境や思いを共有しながら見ることができます。

多分一度見ただけではすべてを理解できないくらい複雑です。ガタカをじっくり考えながら見る人には、そうした点で共通項があると思いました。

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映画『TIME/タイム』

女性

『ガタカ』と同じアンドリュー・ニコル監督の作品では、『TIME/タイム』が近未来の階級層を描く点で共通する部分はあると思います。

こちらの主人公も置かれた環境にヒロインと協力し抗っていく、という大筋のストーリーが共通しています。

 

映画『ソラリス』

女性

名作SFをスティーブン・ソダーバーク監督がリメイクした『ソラリス』は、決して派手さはないものの、限られたシチュエーションで展開するSFドラマという点において、『ガタカ』と雰囲気が近いかと思います。

 

映画『バタフライ・エフェクト』

女性

主人公が自らの運命に逆らうことで道を切り開こうとする作品として、『バタフライ・エフェクト』もおすすめです。

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  • この記事を書いた人

齋藤

映画ドラマアニメ全般好きのネタバレオールオッケー女。ネタバレNGな人には最大限配慮。好きな映画のジャンルは歴史・ヒューマンドラマ・アクション。テンアゲ映画が大好きで年150~200本鑑賞。星ひとみさんの占いは下弦の月人間でコジコジが大好き。スラムダンクは水戸くん、鬼滅の刃は縁一推し。

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